(13)出雲に『やまと』があった
1)『邪馬臺国』は、『やまと国』だった
この列島の都『やまと』を求め、中国の史書を調べることで、大倭王の居する都『邪馬臺国』、それは『邪馬台国』で、実は『出雲を意味していた』というところに行き着きました。
では、その出雲にあった都『邪馬臺国』、あるいは『邪馬台国』が、万葉集に登場する都『やまと』だったのでしょうか。
そうなりますと、『邪馬臺国』が、どう読まれていたのかということになります。魏志倭人伝では、卑弥呼の次の女王は、『壹與』とありましたが、唐代の史書では『臺與』とあり、それは『とよ』と読まれ、後のわが国では『豊』とも書かれています。つまり、『邪馬臺国』は、『やまと国』と読まれていたと考えられます。
したがいまして、私が、古代史に関わるきっかけとなり、ずっと捜し求めていたこの列島の都『やまと』は、中国の史書にも『邪馬臺国』と登場する、『邪馬台国』だったのです。そうなりますと、万葉集に詠われているこの列島の都『やまと』は、出雲の地にあったということになります。同時に、万葉集第2首は、出雲の地で詠われたことにもなり、『天の香具山』は、出雲にあったことになります。
とうとう、この列島の都『やまと』にたどり着くことができました。
2)万葉集に詠われたこの列島の都『あきづ島 やまと』
やまとには 群山(むらやま)あれど 取りよろふ 天の香具山 登り立ち
国見をすれば 国原は 煙(けぶり)立ちたつ 海原は 鴎(かまめ)立ちたつ
うまし国そ あきづ嶋 やまとの国は
この第2首では、いくつかのキーワードがありますが、出雲では、そのキーワードが満たされているのでしょうか。
まず、「群山あれど」とありますから、山が群れるがごとくにあるのでしょうか。
次に、『天の香具山』があるのでしょうか。
そして、煙が立ち昇っているのでしょうか。
海原があって、鴎が飛び交っているのでしょうか。
「あきづ島」、つまりトンボのような島があるのでしょうか。
出雲の地が、『やまとの国』であったのなら、これらの条件を満たしていなければなりません。
しばらくは、出雲の歴史や風土などを調べることにしました。そうしますと、今は、島根半島と言っていますが、古来は、つながっていなくて、島だったということが分かりました。斐伊川から流れ出る土砂で、陸つながりになり、今のような半島となったようです。つまり、この第2首が詠まれた頃は、島だったということです。その形状は、まさしくトンボのように細長い島ではありませんか。
次に、出雲の勢力は、北方騎馬民族の流れにあり、製鉄を基本としています。それは、『たたら製鉄』です。その製法は、鉄1トン造るのに木を60トンも燃やすと言われています。3日3晩、炉の中で木を燃やし続けます。そうしますと、中国山脈、出雲周辺の山々ではそのたたら製鉄の煙が、立ち昇っていたと考えられます。そのたたら製鉄の製法は、横田地方で今にも伝え残されています。源氏や平家の武士の刀も出雲で造られていたと言われています。
出雲でたたら製鉄が行なわれていたのには理由がありまして、斐伊川の上流の山地では、この列島の中で最も純度の高い鉄鉱石や砂鉄が採掘されていたことにあるそうです。
ということで、まずは、2つの条件がクリアされました。
他の条件も果たしてクリアできるのでしょうか。
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